アカマツの生態と分布 山梨県富士吉田市の諏訪の森にそそり立つ巨大なアカマツ林は、青空高く真直ぐに赤褐色の樹はだを浮き彫りにして、富士山とともにすばらしい自然景観を演出している。 マツといえばとかく幹が曲り、枝振りの美しいものがもてはやされるが、素直に伸びたアカマツの大木が林立している集団の美しさも捨てがたい。 新緑の美しい初夏、マツゼミの鳴くマツ林にしばしたたずむこともある。 日本の植物を江戸時代後期に調査した彼は「このマツはクロマツのように、日本全土に広がっているが、南国ではクロマツより少ない。 長崎近郊では高さ四〇フィートをちょっと越えるくらいの一本立ちの木を見たに過ぎない」と書いている。 アカマツは本州、四国、九州の高地を除いていたるところに広く白生し、朝鮮半島、中国東北部にも分布して、暖帯から温帯下部におよんでいる。 自然分布の北限は青森県下北郡大間の北緯約四一度三一分である。 北海道樽前山のふもとには白生状態のものがあるが、これは本州からの移入であろうといわれている。 函館から七飯に通じる街道の大中山附近にはアカマツとクロマツとが交じった立派な並木があるが、寒さの強い年には寒害を受けることかある。 |