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現物では頭部あたりは繁っていて判リにくいのだが、頭部の切断による短縮化が計画されている。 芯となる枝を切り、その下にある枝を立ち上げる。 樹作リ途中の樹によくある<立て替え>である。 ちょうど頭部あたりは、以前に整姿した際の枝から判断して、整理されておらず、全体形作りを主体に作られている。 この部分を切断して、樹高を縮めることになる。 同時に立て替えによるコケ順も作られるのである。 現物では.頭部を切断したあたりが、その作業である。 枝はそれぞれが繁り放題のため、内部の枝は少なくなっている。 ネズミサシの完成樹によく見られる枝棚のよく分枝した状態にまで、ここから再び作り直すわけである。 ネズミサシは剪定や摘み込みをしなけれぱ、枝の先端が常に強く外側だけ強くなる。作業前の繁らせた状態は、たとえていえば真相の庭木のように強い枝が何本も伸びて、内側の枝がごく少なくなっている姿である。 頭を飛ばして、左側にある小枝を立て替えて代りの頭部とし、次にその枝のごく小さな枝を仕立てていくわけである。 いわゆる放置状態に近い樹を再び作り変えるのは楽しみでもあるが、時間も必要である。 ネズミサシの場合は樹勢さえあれば、以上のような立て替えから此較的短期間で再び仕上りに近い状態に作り込むことが可能である。 芽吹きの良さは樹勢が良いことが条件で1度詩ち崩すと整姿前の数年は樹勢回復のためにだけ数年も必要とする。 それも回復すればの話で、大枝が枯れ込んだり、橿腐れの状態の古樹は枯死することも多い。 寒グミの小品は人気が高く、小晶鉢植え家ならば棚場に1鉢はあるもの である。 挿し木や取り木から仕立てた紬幹の持ち込みは風情があり、初心者にもベテランにも熱中する人が多い。 太幹の寒グミの小品は少々難しい分野で、鉢で永く持ち込んでも太くなりにくい。 いわゆる短幹・太幹の寒グミはありそうでごく少ない素材なのである。 自分で山採りしてきた寒グミの素材は94年ごろのことである。 足元に1曲ある太幹で径約5p。 山ではかなり年数を経た樹と思われるが、このように立ち上がりの面白い樹を採取したわけである。 寒グミの古幹の挿し木は難しいとされ、このあたりが小品の太幹樹の少ない理由と考えられる。 掘り上げて活着後2年ほどのものである。 5月では素材を斜幹に傾けて植え付咳鉢植え化にとりか穿智隷.二る。 幹径の印象は手で示した寸簾糠,紬お判りいただけるだろう。 仕上瞭健・はあと数年を要するが、約2年で稜の基本形ができ、半懸崖樹として注目される樹へと変貌したようである。 ズミは小品の、この樹種のなかでも有数の作品と考えられている。 愛好家が棚場で永く持っていたと伝えられ、当時から様子を知る入から注目を集めていた作品である。 入手して4〜5年。 前持ち主が手離したのは実がつかなかったためである。 ズミの幹が荒れるようになるのが大変で、若樹からでは長い時間が必要。 ズミは細く、縦縞が入るように荒れており、小品ではあまり見かけない。 コレクターが眼の色を変える素材だが、日本中でも数は多くない逸品のひとつ。 ズミの樹勢の強い部分の枝を折り、基部に花芽をつける作業。 庭植えのズミは走り枝が伸び、その基の短枝が多くなってそこに結実する。 鉢植えでは締めると結実しにくい。 仕上がりの高さは18pの予定。 |