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つまり、趣味とはそういうものだろう。 たかが趣味。 それも然りだが、お客さんの場合は暇潰しというには、あまりに熱心である。 芽摘みの時期には、毎朝4時半には起きて1鉢か2鉢仕上げ、夕方帰宅するとまた行なう。 夕方帰宅すると、まず棚へ行き鉢の乾き具合を見て回る。 これが日課である。 乾いた鉢があれぱ水をやり、ついでに枯れ葉を取ったりしてから家へ入る。 休日は、ほとんど1日棚で過ごす。 入がお客さんの棚を見たら、これだけのネズミサシの芽摘みをある期間、毎日毎日くリ返すのは、さぞ大変な作業だろうと思うだろうが、お客さんに言わせれぱ、それは、人が見て思うことであって、実際は違うそうだ。 なぜなら、新芽を全部摘んでしまうわけではないからだ。 伸ばす部分は残すし、培養中の樹はポウポウに伸ばしておく。 一様に摘み取るわけではないのだ。 しかしそうは言っても、lOO鉢もあれば、かなりの労力ではあるだろう。 ところが、この芽摘みほど楽しいものはないそうだ。 それは、芽 摘みをすると樹がよくなるからだ。 それを見るのが楽しいと言う。 また、ガがツーンと出ているのはすごく気になるそうた。 たからつい樹をいじりたくなる。 多くの国、とくに南米ではリービッヒ固形ブイヨンの大量生産がただちに開始された。 このエキスの栄養成分については無理な要求がつけられた。 そして、医薬業界から政府の軍事関係者まで、すべての人びとはブイヨンの長所について論じた。 「肉のエキスは飢えの苦痛をやわらげ、戦場では軍隊の機動性を増大させる。 やや濃い目にして飲むと、このスープは胃にほどよい暖かさを与え、脈はくと心臓の鼓動を強め、尿の排渡をうながす。 このように、すみやかな物質代謝と、いろいろな好結果が生まれる。 これは、むしろ医学への利用の分野である」 残念ながら、しばらくしてこのエキスは、科学がいまだに探し求めている「食料丸薬」ではないことがわかり・これに対する熱はさめてい・た・すなわち・その栄養析は・套そう美評価されていたのである。 肉の罐詰め工程の発達につれて、エキスの評判はさらに下落した。 けれども、この固形ブイヨンは現在でも急いでつくる必要のある多くの料理の材料として使われており、世界中であまねく利用されている。 |