引き裂いた水吸いの部分には、普 通、亀裂が生じないようラファイア を巻くのだが、片野氏はうすいゴム のバンドを巻き、曲げていった。 ゴ ムのほうが弾力性もあり、曲付けに は効果的。 ただし、この巻いたゴム は半年ほどで、かならずはずしてや る。 中がムしてしまうためだ。 また、針金かけと同時に芽つみも 行なって、葉先を揃えた。 芽つみは、ハ サミを使わず、手でムシリとってい く。 紐葉であるために、ハサミを使 うと、切った部分から茶色に変色し ていく。 芽つみは、葉をブロックご とに握り、その飛び出している新芽 を取り去る方法で行なうこと。 「やはり、作るとなると真柏がおもしろい」と氏は言う。 またひとつ、夢を追うことができる真柏が、この世に作りだされた。 挿し木仕立てと花を咲かせるポイント 長寿梅の挿し芽の適期は、年に3回あるといわれる。 早春の2〜3月に古枝の剪定をしたとき、6月の入梅期、そして9月上旬である。 もちろんそれ以外の時期に挿し芽しても活着しないわけではないが、挿し芽後の管理を考慮すると、前述の3つの時期が活着率もよく適期といえるのである。 それぞれの時期に特性があり、2〜3月の場合は前年の新梢だけでなく、剪定時に切り落とした古枝(2〜3年枝)も利用することができ、双幹や株立ちなど変化に富んだ素材を得ることができる。 |