6月の入梅時は春からの新梢が充実する時期であり、もっとも活着率が高い。 また徒長枝を利用した長大な挿し穂を得ることができ、あらかじめ曲づけしておけば白由な樹形の素材を得ることができる。 9月に挿し芽をする場合は、発根期間が短くなるため上旬のうちにしたほうがよいといわれる。 なお、この9月に剪定してその年の新梢を挿し芽することには別の意味がある。 それは秋の展示会シーズンに合わせて長寿梅の花を咲かせるにはこの時期に新梢の剪定を行うと効果があるからである。 長寿梅は四季咲き性であるといわれる。 ボケの一種だから一般的には春に咲く花が多いのだが、樹勢の充実度と新梢の剪定時期によっては、花芽の分化と開花を促進させることができる。 とくに春から伸び出した新梢が充実する6月の入梅時に剪定すると、約20日間でその基部に開花が認められるようになる。 いっぽう、秋の9月にその年の新梢を元から2〜3節残して剪定すると、約1か月ほどで開花が始まるようになる。 小枝分れができ、樹姿にまとまりができれぱ花のない時期でも観賞はできるが、やはり花もの・実もの盆栽としての長寿梅には、数輪でもよいから花が欲しい。 秋に、花と実と黄葉がともに楽しめる姿は長寿梅ならではの醍醐味である。 添え草から本格盆栽まで幅広く楽しめる 長寿梅は本来が株立ちを呈するため、皐月と同様、直幹以外ならどんな樹形に仕立てても、楽しめる特性をもっている。 とくに、コグマザサや屋久島ザサ、コガネシダなどと取り合わせた草もの盆栽や、盆栽席飾りの添え草としては、季節を間わず用いることができるため、もっとも広く用いられている。 |